パーソナライズは標準装備──それでも顧客が満足していない理由とは?
パーソナライズは、もはや「あれば嬉しい」ものではなく、「顧客との関係構築の土台」と言えます。先進企業の多くは、文脈に即したデータやAIを活用し、エンゲージメントの向上、コンバージョンの最大化、そして長期的なロイヤルティ構築を目指しています。
しかし、企業と消費者の間には、依然として明確なすれ違いがあります。企業はパーソナライゼーションへの取り組みを5点満点中4.1点と評価し、卓越した体験を提供していると考えていますが、消費者はそれほど納得していません。企業のパーソナライゼーション体験を「優れている」と答えた消費者はわずか16%で、44%が「良い」、31%が「平均的」と評価しており、企業の自己評価との乖離が明らかになっています。こうしたギャップの存在は、顧客とのすれ違いを意味する一方で、期待に応える余地がまだ残されていることも示しています。
なかでも大きな見落としが、「顧客が好むチャネルで届ける」こと。どれほど丁寧に設計されたメッセージでも、届け方を間違えると、かえって逆効果です。チャットでの即応性を求める人もいれば、電話での丁寧な対応を重視する人もいます。多くの人にとって、SMSは最も気軽な選択肢かもしれません。適切なタイミングで、適切なチャネルで届けなければ、パーソナライズされた体験もありふれたものに感じられてしまいます。
実際、対面以外でのやり取りでは、50%がEメール、40%がメッセージアプリを好むと回答しています。チャットボット(15%)やビデオ(10%)の人気は相対的に低く、メッセージの中身だけでなく「届ける手段」もパーソナライズには不可欠です。

