トレンドその5

導入で終わらせない。成果につながるしくみまで見据えて、企業は投資を進めている

予算の使い方が変わる。未来を見据えた投資のカタチ

導入で終わらせない。成果につながるしくみまで見据えて、企業は投資を進めています。いま、多くの企業は予算を増やすことよりも、効率性と顧客体験の向上に向けて投資の賢い選択を進めています。

実際、96%の企業は「顧客理解のための適切なツールとテクノロジーを備えている」と回答していますが、それでも課題は残っています。ほぼ半数(44%)が「チャネル、ソース、プラットフォームをまたいだ顧客データの接続」に依然として苦戦。30%は「古い、または不十分なテクノロジー」が、顧客インサイトの深化を妨げる主因であると答えました。

このようなギャップを埋めるために、企業はテクノロジー投資の微調整を進めています。 しかし、本質的な課題は“新しいツールを採用すること”そのものではなく、複雑性を増やすことなく、イノベーションを推進できるかどうかです。このバランスをどう取るかが、2025年におけるリーダー企業を分ける鍵となるでしょう。

現在のテックスタックの規模についての企業の回答

最新のテックスタック、その傾向と選ばれる理由

では実際に、企業はどのようなテクノロジーを活用しているのでしょうか。 

現在、企業はあらゆる接点で顧客を理解するためのツールへの投資を強化しています。現在、企業が使用している上位5つのソリューションは次のとおりです。

  1. CRM(顧客関係管理)(63%)
  2. 顧客分析ツール(58%)
  3. 顧客アンケート調査(53%)
  4. CDP(顧客データ基盤)(52%)
  5. CPaaS(サービスとしてのコミュニケーションプラットフォーム)(50%)

このうち4つのソリューションには「顧客」の語が含まれており、顧客インサイトの重要性が依然として高い優先事項であることを物語っています。

A bearded man wearing glasses, coding on a desktop computer with code visible on the screen.
Person with dreadlocks typing on a laptop with code on the screen

この1年で、企業のテクノロジー投資には興味深い傾向も見られました。前年比で顕著な成長率を示したソリューション:

  • 顧客分析。導入率は、2024年の37%から今年は58%へと急増しました。  
  • 顧客アンケート。38%から53%に拡大しました。  
  • コンタクトセンターソリューション。  33%から46%に拡大しました。

より多くの企業が、顧客の好みや行動の変化を深く理解できるソリューションを導入し、体験の質を高めようとしています。また近年では、CPaaS・CCaaS(サービスとしてのコンタクトセンター)・CDP・AIを統合した包括的なCXaaS(サービスとしての顧客体験)モデルへの移行も進んでおり、現代のカスタマージャーニーに対応する柔軟なソリューションが求められています。

この変化は、より大きな構造転換の兆しを示しています。顧客体験(CX)は、バラバラなツールの寄せ集めから、統合された戦略的優先事項へと進化しつつあります。企業がテックスタックの整理と統合を進める中で、目指すゴールは明確です。より質の高いデータを引き出し、鋭いインサイトを生み出し、深く意義のある顧客関係を築くことが求められています。

2025年のテクノロジースタック: 企業が大きく投資する分野

Twilioは、今年、どのテクノロジーソリューションに投資したいと考えているかを企業に尋ねました。企業は以下の分野に投資の重点を置いています。

  1. DMP(データマネジメントプラットフォーム)(26%) 
  2. CEP(顧客エンゲージメントプラットフォーム)(25%)
  3. CDP(顧客データ基盤)(24%) 
  4. MAP(マーケティングオートメーションプラットフォーム)(23%) 
  5. CPaaS(サービスとしてのコミュニケーションプラットフォーム)(22%)

これらのツールは、データ管理、自動化、コミュニケーションの改善を通じて顧客関係を強化するように設計されています。

一部の企業は新しいソリューションを購入していますが、独自のソリューションを構築している企業もあります。実際、96%の組織は、既製のプラットフォームを購入するのではなく、社内で次の顧客体験テクノロジーを開発する計画と回答しています。この「自社開発」アプローチにより、企業はCXaaSのような柔軟でカスタマイズ可能な体験設計を行い、自社のビジネスゴールや顧客ニーズにフィットした仕組みを構築できるようになります。

企業が2025年に投資している上位ソリューション

96%の企業が、次のCXツールを購入するのではなく構築することを計画しています。

RCSとブランドメッセージングで信頼を築く

2025年に企業が検討しているのは、新しいプラットフォームだけではありません。 

RCS(リッチコミュニケーションサービス)は、リッチメディア、カスタムブランド表示、双方向対応、セキュリティ強化など、従来のSMSにはない多くの機能を提供し、よりパーソナライズされた信頼性の高いコミュニケーションを可能にします。Androidではすでに普及していましたが、昨年iOS 18でAppleがRCSを採用したことで、その将来性がより広く認識されるようになりました。 

実際、今年は、ビジネスリーダーの75%がRCSメッセージングに投資する計画です。その数値はLATAMでは85%に達しています。この傾向は単独で起きているわけではありません。すでにリアルタイムのエンゲージメントを提供している企業のうち、79%はこのテクノロジーに投資する計画です。これはそうでない企業の割合(42%)の約2倍です。

消費者側もこの変化を歓迎しています。SMSメッセージとRCSメッセージを並べて比較すると、結果は明確になりました。81%の消費者は、従来のSMSよりもRCSを好むと回答しています。LATAMとAPACではさらにその傾向が強く見られ、それぞれ91%と83%の消費者がより充実したメッセージングを好んでいます。RCSの普及が進む中、より安全で魅力的な顧客コミュニケーションの実現手段として、多くの企業がその活用に向かうと予想されます。

Woman with suitcase looking out hotel room window near bed

今年、4社に3社の割合で企業がRCSメッセージングへの投資を予定いています。

消費者の81%が、従来のSMSよりもRCSを好んでいます。

2025年以降、テック投資を最大化するには

単にツールを増やすのではなく、効率性・エンゲージメント・持続的な成長につながる戦略的な投資こそが成功の鍵になります。

2025年のテックスタック構築における4つのポイント:

Female doctor wearing a white coat and stethoscope, talking on the phone while using a laptop.
  • イノベーションと運用効率のバランスを取る

    投資は複雑化させるのではなく、業務の簡素化を目的に。新たなツール導入を検討している企業の方も、複雑さを増やすことなく業務を改善できるかを見極めることが重要です。

  • RCSを活用し、会話の質を高める

    RCSでメッセージングを強化します。顧客はより豊かでインタラクティブな会話を求めています。RCSを活用するブランドは、より魅力的なコミュニケーションという点で際立ちます。

     

  • さらに、パッケージソリューションではなく、

    自社に最適化された構築型アプローチも選択肢となります。APIを活用すれば、柔軟で将来の技術統合にも対応可能なCX基盤が構築できます。

2025年は「広く」ではなく「賢く」投資した企業が勝つ時年です。

調査データ

現在のテックスタックの規模についての企業の回答

現在企業が使用している上位のテクノロジーソリューション

企業が2025年に投資している上位ソリューション

のビジネスリーダーが、今年、RCSメッセージングに投資する予定です 

データ × AI × 適切なツール = パーソナライズされた優れた顧客体験

予算の有効活用、コンバージョン率の向上、無駄な支出の最小化を目指す企業に向けて、TwilioのCMO、クリス・ケーラーからの提言を紹介します。
 

顧客の全体像を単一かつ統一された形で把握することで、文脈に合った対応が可能になり、真のパーソナライズが実現します。

また、AIを活用すれば、「成果の出る施策」に集中しながら、「効果の薄い部分」は抑制することで、マーケティング予算を最適化できます。

ボットや偽アカウントへの広告配信は、予算と労力の無駄使いです。そのため、本人確認ツールなどを活用し、不審な行動を検知・排除することで、予算を「本物の顧客」に充てることが重要です。


こうした対策を講じることで、マーケターは高いROI(投資対効果)を実現し、顧客体験を大きく改善しつつ、特に不確実性の高い経済状況においても予算を守ることができます。
 

A man in a striped shirt and jacket uses a smartphone in an illuminated urban setting at night.

まとめ

顧客エンゲージメントの未来とはよりスマートに。 よりスムーズに。 そして、より人間らしく。

顧客エンゲージメントは変化しているだけではなく、リアルタイムで再構築されています。もはやデータを収集するだけでは十分ではありません。「人間らしさ」を感じさせる、パーソナルかつ直感的な体験の設計が求められます。今の消費者が求めているのは、企業の「受け身の対応」だけではありません。。期待されているのは、「先回りした対応」です。

アレックスの話に立ち戻ってみましょう。アレックスは特定のブランドに対するロイヤルティが高いランナーです。彼のお気に入りのブランドは、彼が愛用する靴を把握し、地元のジョギングルートを提案し、ウェアやシューズの買い替え時期を知らせてくれます。これは、ファーストパーティデータを使用したリアルタイムのパーソナライゼーションによって実現されています。すべてのやり取りがスマートで関連性が高く、まさに「自分のための体験」を受け取っています。 

Man in black running jacket jogging on a city street in the evening.
Woman in a light purple shirt holds her phone and makes a fist as she looks at the screen with a smile.

一方でサラは、住所変更をしようとしただけなのに、融通の利かないAIに阻まれ、何度も繰り返す羽目に。サラにとって、AIは架け橋どころか、障壁のように感じられました。この違いは何か?それは、AIが「今は支えるべきか、退くべきか」を理解し、ユーザーとの信頼関係を築けるように設計されているかどうかです。

こうした体験の差は、「人を支えるシステム」と「苛立たせるシステム」の違いを如実に物語っています。成功するエンゲージメントに必要なのは、「オートメーション」と「人間らしさ」の融合。  

顧客との関係づくりに本気な企業こそ、未来をリードする。 データを活用し、瞬時に、的確に、そして心のこもった体験を届ける。 そんな企業が、これからの時代を動かしていきます。 その実現に欠かせない、4つのポイントをご紹介します。

  • リアルタイムでのパーソナライズ。 遅れはコンバージョンの機会損失につながります。

  • 目的を持ってAIを活用する。 「AIだから」ではなく、戦略的な活用を。

  • 透明性と選択肢を通じて信頼を築く。

  • テックスタックを整理し、本当に重要な価値に集中する。ツールを増やすのではなく、賢くシンプルに。

より良い顧客エンゲージメントに、一歩踏み出してみませんか?営業チームにご相談いただくか、2025 IDC MarketScapeでTwilioがリーダーとして評価された理由をご覧ください。1

1『IDC MarketScape: Worldwide Communications Platform as a Service 2025 Vendor Assessment』(2025年2月)IDC #US52039625。