Appleのメールプライバシー保護(MPP)に備える!

September 22, 2021
執筆者
レビュー担当者

Apple Mail Privacy Protection 2 JP

この記事は、SendGrid Eメール配信 運用担当のLuke Martinezが、こちら(英語)で執筆した記事を日本語化したものです。

2021年9月末には、Apple社がOSの最新版である “iOS 15”, “iPadOS 15”, “macOS Monterey”, “watchOS 8” をリリースすることが予想されます。Appleデバイスを最新バージョンにアップグレードしたユーザーは「メールプライバシー保護」(MPP) という機能を利用できるようになります。この機能が2021年6月に初めて発表されたとき、Twilio SendGridではMPPとそのメールプログラムへの潜在的な影響に関する頻出する質問 (FAQ) に答えるブログ記事日本語抄訳版)を公開しました。

そのなか、MPPのリリース日(9月中下旬)が近づいてきましたので、お客様がMPPに備えるための方法を幾つか、また、メール配信プログラムの効果追跡にもたらされる大きな変化を皆さまが管理するためにTwilio SendGridが取っているステップについての最新情報、の2点を提供したいと思います。

メールプライバシー保護(MPP)のおさらい

iOS 15に対応したAppleデバイスと「メール」アプリをお持ちのユーザには、Appleのメールプライバシー保護機能へのオプトイン(機能利用の意思確認)を促すプロンプトが表示されます。(iPhone、iPad、およびMacユーザーに影響が及びます。)Apple「メール」アプリケーションのユーザーは、アプリケーションに任意の受信ボックスを設定することができますので、これはAppleのドメインに特有のものではなく、Apple「メール」アプリに設定された任意のドメイン(Gmail、Microsoftなどを含む)に適用されます。

Appleがこの機能をどのように実現するかの技術的な詳細は完全には明らかになっておらず、変更される可能性もありますが、ベータテストの分析結果によると、Appleは「メール」アプリケーションに設定されたメールボックスに配信されるすべてのメッセージのコンテンツを事前に取得(プリフェッチ)しているように見受けられます。

Appleは、メールのコンテンツを事前取得する際、開封追跡用ピクセル(受信者がメールを開封したことを知らせる透明で小さなピクセル画像、メールマーケティングで20年以上にわたる定番)を含む画像をリモートサイトから取得します。

これにより、MPPを有効にしているApple「メール」アプリのユーザーに送信したメッセージは、(そのメッセージが実際にそのユーザーによって開かれたかどうかに関わらず)開かれたように見えることになります。

この変更により、MPPを選択した受信者については、開封履歴の追跡が正確にはできなくなります。つまり、メールプログラムをより良く調整するために開封履歴の追跡を日常的に利用しているお客様は、受信者がどのようにメールに関わっているかについての貴重な情報を失うことになります。

メールプライバシー保護(MPP)に備える

クリック追跡をもっと活用する

開封データの信頼性が低下する可能性がある中で、メールプログラムの効果測定の代替方法を考えることは非常に重要です。開封データに代わるものとして最も分かりやすいのは、クリックデータです。

MPPが発表される前から、クリックデータは開封よりも信頼性の高いポジティブなエンゲージメントの信号であるということが証明されていました。クリックは意図的に行われるため、より明確なエンゲージメントの信号となります。

MPPはほぼ確実にこの議論 (Open vs Click) を終わらせるでしょう。今こそ、メールプログラムのエンゲージメントを測るための主要な指標として、クリックの使用を真剣に考えるべきタイミングです。クリックを主要なエンゲージメント指標としていくために、以下を意識してください。

  • メールの宛先一覧をエンゲージメントベースで再評価する際、開封数ではなくクリック数を使用する。
  • A/Bテストのパフォーマンスの測定にクリック数を使用する。
  • クリック率のベンチマークを作成 - 過去データを調べ、クリック率の現在値の妥当性を確認。なお、クリック率は常に開封率よりも低いことを念頭に置いてください。
  • 頻繁に確認するレポートやダッシュボードでは、開封率をクリック率に置き換える。

再エンゲージメントのキャンペーンをより定期的に準備

企業は10年以上も前から、受信者の直近のエンゲージメントがいつだったかに基づき、再エンゲージメントキャンペーンを送信するタイミングを決定してきました。例えば、ある受信者が6ヶ月間メッセージを開封したりクリックしたりしなかった場合、その受信者がまだメールを受け取りたいかどうかを確認するために、再エンゲージメントキャンペーンを送信することがあります。再エンゲージメントメッセージをクリックしなかった場合、その受信者はメーリングリスト(宛先一覧)から削除されます。

今こそ、この戦略を見直すべきです。エンゲージメントを示す信頼できる信号として、クリック数は信頼できるものです。誰かがクリックしていれば、エンゲージメントがあると考えられます。しかし、メッセージをすべて開封しているのに一度もクリックしていない受信者がデータ上にいる場合、本当のエンゲージメントがないことを示す新たな信号となるはずです。

そもそもクリックされることは簡単なことではなく、またメッセージが正当に開かれつつもクリックされないことがあるため、ユーザーに積極的なエンゲージメントアクションを促すことがより重要になってきます。そのためには、再エンゲージメントキャンペーンを頻繁に行うことが有効です。このブログ記事(英語)では、再エンゲージメントキャンペーンの成功例を紹介していますので、ぜひ内容をご確認ください。

クリック数を増やすためにCTAの使用を増やす

すでに述べたように、開封率に比べてクリック率は高くなりにくいものです。しかし、受け身でいる必要はありません。より多くのクリックを促し、クリック率を高めるためにできることがあります。簡単なステップとしては、より短く、より簡潔で、数は少なくてもより目立つ行動喚起 (CTA) を含むメールを作成することです。

これは新しいアイデアではありませんが、開封率が実際のエンゲージメントを示す信頼性の低い信号になるにつれ、その重要性は増していきます。また、エンゲージメントデータが増えるだけでなく、それ以上のメリットもあります。

受信者をメールからWebサイトやアプリケーションに誘導することができれば、より豊かでカスタマイズ可能な体験が可能になります。ウェブページやアプリケーションでは、メールよりもはるかに多くの選択肢が用意されています。また、ウェブサイトやスマートフォンのアプリケーションは、人々がお金を使う場所であることは言うまでもありません。まさにWin-Winなのです。

アクション指向のメールを作成するための詳細は、CTAに関するガイド(英語)をご確認ください。(抄訳版編集コメント: このガイドの日本語化をご要望の場合、大変お手数ですが、こちらからご連絡くださいませ。)

開封ベースのワークフロー自動化を見直す

ワークフローの自動化は、過去10年ほどの間にメールの世界で大きな発展を遂げてきました。世の中には数え切れないほどのワークフロー自動化ツールがあります。これらのツールのほとんどは、メールのエンゲージメントデータを利用して、次回のメッセージをいつどのように送信するかを自動的に決定します。

メールの大部分がMPPや同様の機能によって自動的に開封されている場合、ワークフローの自動化に支障をきたすだけでなく、受信者にとっても非常に奇妙な体験となる可能性があります。トリガーが開封パターンや開封ベースのエンゲージメントに基づいている場合、MPPの開封に基づいて受信者に過剰なメッセージを送ってしまうことにもなりかねません。

メール送信のトリガーやスケジュールを開封データに依存しているワークフローの自動化を、今こそ見直し、代わりにクリック数を使用するように調整する時です。「すべてのメッセージが開封されたように見えるとしたら、この自動化ワークフローはどのように見えるだろうか」と自問してみてください。答えが「良くない」であれば、まずそのワークフローに取り組むべきです。

Twilio SendGridにおけるMPPへの準備対策

2021年6月の最初の発表以来、Twilio SendGridは、この機能の動作が送信企業にどのような影響を与えるかを理解するために行動してきました。また、この激動の時代を乗り切るために、どのような製品機能を提供できるかを検討してきました。

たとえば、iOS 15のリリース前とリリース後の開封率の変化をモニターし、比較するための社内ツールを構築しています。このツールがあれば、MPP機能の導入が進むにつれてその影響を効果的にチェックすることができます。実際の影響について信頼できる詳細情報が得られるにつれ、MPPの採用によってメール送信に関連する最も基本的な信号がどのように変化するかについての知識を蓄積し、できるだけ多くの情報を送信企業と共有する予定です。

さらに、6月の発表以来、「非人間的」なエンゲージメントとはどのようなものか、どうすればそれを特定できるかをよりよく理解するために、ベータテスト等を通して、当社のデータセットを強化しています。

メール配信の専門性

MPPの動作がメール送信企業にどのような影響を与えるかについては、まだかなりの不確実性が残りますが、Twilio SendGridのメール専門家チームは、お客様に最新の情報を提供するために日々活動しています。加えて、業界の専門家との対話の場、収集・分析済みデータ、そして(このブログ記事のような)最新の情報を提供しています。より多くの情報が得られれば、MPPの影響に関する更新情報とともに、変化に対応する方法についてのベストプラクティスを提供いたします。

MPP機能がお客様のメールプログラムにどのような影響を与えるかについてご心配な場合は、当社の専門家チームにご相談ください。(通算)130年以上の経験を有する当社の専門家チームが、お客様のメールプログラムの設定、配信に関する問題の解決、および継続的なサポートを行います。