信頼できるCustomerAIに向けたTwilioのアプローチ

Twilio’s approach to trusted CustomerAI
February 16, 2024
執筆者

Twilioは、人工知能(AI)には、私たちの働き方、生活、そして私たちを取り巻く世界との関わり方を変革する可能性があることを認識しています。AIを活用して、製品やサービスを改善し、Twilioのお客様に新たな機会を提供できると考えています。

AIの真の価値は、貴社のような企業が、すべてのデータを安全かつコンプライアンスに準拠して活用できるようになることにより発揮されるとも考えています。活用するデータには、個々の顧客とのやり取りから得られるシグナルも含まれます。そして、この深い理解を大規模に活用することにより、すべての顧客が貴社ブランドとの間で行う次のインタラクションが、リアルタイムで、一貫して改善されるのです。このデータ主導型のフライホイール、つまり顧客との関係を繰り返し理解し、深化させていくことを、Twilioは可能にしています。

それゆえ、TwilioのCustomerAIテクノロジーが、Twilioサービスを利用するブランドや企業にもたらす価値に非常に期待しています。とはいえ、AIにはリスクが伴うことを認識し、Twilioのお客様が倫理的にも、法的にも、責任ある方法によりAIを使用できるよう支援することに取り組んでいます。

Twilioの伝統である信頼を中心に据える

2023年6月6日、TwilioはCustomerAIを発表しました。これは、大規模言語モデル(LLM)の力とTwilioの顧客エンゲージメントプラットフォームを流れていく豊富な顧客データを組み合わせたものです。最終的に、CustomerAIは、マーケティング、セールス、サポート、オンボーディング、認証など、顧客ジャーニー全体にわたり企業が顧客の潜在能力を引き出す方法を加速し、企業がこれまでにないフライホイールを生み出すことを可能にします。

Twilio Segmentでは、イベントや行動から集められたゴールデンプロフィールを使用して、企業はインタラクションをパーソナライズできます。しかし今では、CustomerAIを使用することで、コミュニケーションをより適切に解釈できるようになりました。特性や重要な詳細を特定し、顧客プロフィールを更新できます。このフライホイール効果は、Twilioのお客様がすべてのインタラクションをよりよく理解し、ゴールデンプロフィールを充実させ、ひいては、すべてのタッチポイントをよりパーソナライズすることを意味します。

CustomerAIは、信頼を基盤とすることと、お客様がお持ちのデータはすべて、お客様のものであるというコミットメントから始まります。AIにより、プライバシーの懸念が最前線に浮上していますが、Twilioは常にデータプライバシーを真剣に受け止めています。Twilioは、設計段階からプライバシーとセキュリティを考慮した製品開発ライフサイクルにするというコミットメントを維持することにより、Twilioのお客様がTwilioの製品とサービスでデータを使用する際に、コンプライアンスに準拠し、責任を持てるようにしています。

たとえば、TwilioのFlex、Console、SendGridという各製品向けにプライバシーパターンを作成しました。これにより、開発者はプライバシーを直接アプリケーションに組み込むことができます。TwilioではSegment Privacy Portalを提供しています。このデータインベントリ機能により、お客様はデータを自動的に識別して分類(高リスク、中リスク、低リスクなど)できます。漏洩リスクを管理するルールを設定し、データをプロアクティブにブロックして、企業のプライバシーポリシーに準拠できます。

信頼できるCustomerAIに向けたTwilioのアプローチ

さらに、Twilioは業界標準の暗号化アルゴリズムを使用して、転送中と保存中、両方のデータを暗号化します。お客様が顧客データを管理し、必要に応じてユーザーに関連する個人データを削除するためのコントロールを提供します。Twilioプラットフォーム全体で強力なAIソリューションを継続的に提供する中で、特に顧客データプライバシーの保護に関しては、厳格さと信頼性についても同じレベルで取り組んでいます。

プライバシーへの取り組み: CustomerAIの信頼の原則とプライバシー段階

Twilioは、AIの使用とプライバシーの保護は、Twilioのお客様とTwilioとの間で共有される責任であると考えています。これをサポートするために、Twilioは、CustomerAI信頼原則を採用し、Twilioのすべての製品と機能にわたり、予測AIと生成AIの責任ある開発、使用、展開の指針としています。

CustomerAIの信頼原則

透明性

Twilioは、AIの使用について透明性を提供し、Twilioのお客様がデータをコントロールできるようにします。

Twilioは、Twilioのお客様がさまざまなタイプのAIモデルを使用するかどうかについて十分な情報に基づいた選択を行えるよう支援するために、Twilioが使用しているAIベンダーとモデルの種類、それらのモデルで顧客データがどのように使用されるかを完全に透明化しています。

Twilioがお客様に透明性を提供する方法の1つは、AI成分ラベル(詳細は以下を参照)を使用することです。このラベルは、Twilioがリリースする各AI主導型の製品と機能に割り当てられ、重要な詳細すべてをシンプルで分かりやすい形式で目立たせて表示します。

責任

Twilioは、責任あるAIベンダーを選定するとともに、プライバシーを尊重し、データの安全性を維持し、偏見やその他の危害のリスクを最小限に抑える方法でAIを使用するよう努め、Twilioのお客様が同様な方法でAIを使用できるよう支援しています。

Twilioは、AIベンダーと協業する前にプライバシーとセキュリティの評価を実施することで、AIベンダーがTwilioのプライバシーとセキュリティの基準を満たしていることを確認し、具体的な契約上のコミットメントを要求しています。たとえば、モデルのトレーニングに顧客データを使用しないという具体的なコミットメントです。

説明責任

Twilioは、AIベンダーやお客様と協力して、有害性や目的への適合性に対処するためにAIの機能を監視しています。

Twilioは、監査、ログへの記録、監視を実施することにより、意図したとおりにAIが動作していることを確認します。さらに、目的に適合していることを確保するために多数のガードレールを提供しています。このガードレールには、ヒューマンインザループから、有毒性その他の危害の監視などまでが含まれます。

CustomerAIのプライバシー段階

TwilioのCustomerAI信頼原則に加えて、CustomerAIプライバシー段階を導入しました。お客様が使用を選択する可能性のあるAI主導型の製品または機能ごとに、この段階(と段階レベル)は、モデルに使用されるデータの種類と、モデルがお客様専用であるか、複数のお客様が使用するのかを示します。

自社だけでモデルの使用を希望されるお客様もいれば、データを共有し、より広範で典型的なデータセットを使用したモデルのメリットの活用に前向きなお客様もおられます。

 

レベル1: 自社のデータを使用した、自社で使用するためだけのモデル(PIIなし)

レベル1は、プライバシーのリスクが最も低いオプションであり、個人を特定できる情報(PII)なしのデータを使用した、自社で使用するためだけのモデルを示しています。PIIとは、単独で、あるいは他の関連するデータと組み合わせて使用することにより、個人の特定が可能になる情報です。

レベル2: 自社のデータを使用した、自社で使用するためだけのモデル(PIIあり)

レベル2は、レベル1よりも有用性が高い一方で、PIIありのデータを使用した、自社で使用するためだけのモデルを示しているため、レベル1よりも注意が必要となります。

レベル3: 自社のデータを使用した、複数のお客様が使用するためのモデル(PIIなし)

レベル3は、自社のデータと他のお客様のデータ(ただしPIIは含みません)を使用した、複数のお客様が使用するモデルを示しているため、最も有用性が高い一方で、注意の必要性も最も高くなっています。データには、モデルで使用される前に匿名化されたPIIデータが含まれる場合があります。

TwilioのCustomerAI信頼原則と、上記で概説したプライバシー段階フレームワークは、お客様とお客様の組織が、どのCustomerAI製品と機能が、採用できる状態にあるかについて、Twilioのお客様として十分な情報に基づいた意思決定を行えるようにするために不可欠であると考えています。

TwilioのAI成分ラベルの紹介

最後に、Twilioの包括的なCustomerAI信頼原則とプライバシー段階フレームワークに加えて、TwilioのAI成分ラベルをご紹介できることを嬉しく思います。これは、プラットフォーム全体でTwilioのCustomerAI製品と機能をすべて評価する際に、「箱の中身」を正確に理解するための、明確で一貫性のある透明な方法です。

TwilioのAI成分ラベルは、AIモデルのプライバシーレベルと設計要素に関する重要な情報を分かりやすい形式で提供し、今日普及している食品栄養成分ラベルを模倣しています。以下に、TwilioのGenerative Journeys、Generative Content(両方ともEngage内)、Voice IntelligenceのAI成分ラベルの例を示します。これらはすべて、SIGNALで本日発表されました。各ラベルが、次のような重要な詳細をどのように強調しているかが分かります。

  • 段階レベル

  • モデルタイプ

  • 基本モデルと所有者

  • 各モデルでデータがどのように使用されているかの詳細

  • サポートする公開リソースへの追加のリンク

Twilio CustomerAIを搭載したすべての製品と機能は、製品のUI/UX内にこのラベルを表示しますが、それだけにとどまりません。Twilioは、貴社がAI成分ラベルを作成して共有する能力を備えることを希望しています。これにより、貴社の顧客プライバシーに対する信頼とコミットメントを浸透させるようにしてください。これを可能にするために、Twilioを利用した新しいAI成分ラベルジェネレーターnutrition-facts.aiをリリースしました。これにより、Twilioのお客様、パートナー、そして業界全体が、簡単かつ周到に、独自のAI成分ラベルを作成できます。

CustomerAIによる信頼とプライバシーの実現

Twilioでは、AIがTwilioのお客様にもたらす価値と効率性に非常に期待しています。同時に、関連するリスクと複雑さにも引き続き留意しています。世界で最も信頼されている顧客エンゲージメントプラットフォームを構築するというミッションを実現し続けていく中で、Twilioは、製品や機能でAIをどのように使用するかについて、透明性、責任、説明責任を果たすことに取り組んでいます。また、ベストプラクティスと規制が進化し続ける中で、AIへの取り組みを、責任を伴いながら適応させることにも努めています。

Amy HolcroftはTwilioの最高プライバシー責任者です。プライバシーの分野で20年以上の経験があり、プライバシー弁護士、リスク、コンプライアンスの専門家からなる、Twilioのグローバルプライバシープログラムを担当するTwilioの国際チームを管理しています。

Kathryn MurphyはTwilioの製品と設計を管轄するシニアバイスプレジデントで、Segment、Engage、CustomerAIを担当しています。製品管理、設計、エンジニアリングの分野で20年以上の経験があり、小売、コマース、決済、顧客データプラットフォーム、マルチチャネルマーケティングの分野に精通しています。