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顧客体験(CX)とは?

真にパーソナライズされた体験を推進するためのデータ活用法など、デジタルCXについて知るべきすべてのこと。

顧客体験(CX)とは?

ここ数年のリモートワークやeコマースの変革は、企業が顧客と関わり、サービスを提供する方法を変えました。より多くの閲覧や購入がオンラインで行われるようになった今、企業は、新規顧客を引き付け、既存顧客との強固な関係を維持するために、競合他社に差をつける方法を模索しています。

消費者がマウスをクリックしたり、モバイル画面をタップしたりするだけでブランド間を移動できるデジタル市場では、顧客体験がブランドを選ぶ際の決め手となります。つまり、企業が優れた体験を提供する際のハードルを上げなければならない、ということです。そうしないと、これを実行している企業に負けてしまうリスクがあるのです。

CXとは何か、なぜ重要なのか?

顧客体験(CX)とは、ブランドとやり取りする際の顧客の感情的な反応を指します。CXは顧客との関係全体をカバーし、あらゆるタッチポイントを網羅します。マーケティングメールの受信、オンラインでの在庫閲覧、出荷のトラッキング、取扱説明書の閲覧、返品や交換、すべて顧客体験の一部です。つまり、これらはすべて、関係を強化することもあれば、悪化させる可能性もあるということです。

製品の包装を開けるのに苦労したときや、カスタマーサービスの保留時に音割れしたメロディーを聴かされているときのことを考えてみてください。こうしたイライラする瞬間は、顧客が特定のブランドから購入し続けるかどうかの決断に大きな影響を与える可能性があります。多くの場合、1度の嫌な体験で、有利な料金設定や肯定的なレビューなどの他の要因が吹き飛んでしまいます。

カスタマーサービス対顧客体験

パーソナライズされた顧客体験が揺るぎない顧客ロイヤルティを構築することは周知の事実です。多くのデジタルショッピング体験やコネクテッドTVのストリーミングサービスで受けるお勧めを見れば一目瞭然です。パーソナライズされた体験はそれ自体が売りになるのです。

CXがカスタマーサービス(CS)と同じ意味で使われることもあります。実際、CSはCXに含まれます。カスタマーサービスとのやり取りはすべて顧客体験の一部ですが、すべての体験がCSチームにより作られたり管理されたりしているわけではありません。マーケティング担当者、製品エンジニア、営業担当者、さらには請求担当者も、より大きなCX像の一部です。つまり、CXは組織全体の責任であり、サービスオペレーターだけに任せるべきではありません。

カスタマーサービスは、本質的に、問題が発生してから初めて行動を開始する、事後対応型の部門です。さらに、CSは通常、他部門とは分かれているため、横のつながりのない孤立したデータが作成されます。これにより、営業担当者がどれほどフレンドリーで親切でも、体験に悪影響を及ぼす可能性があります。

たとえば、すでに営業担当者に伝えた情報をサービスオペレーターに繰り返し伝えることは、顧客には非常にフラストレーションのたまることです。電話やSMS、チャットボット、メールなどを介してブランドとやり取りする場合、顧客はそのやり取が組織全体に伝わり、自分のニーズや問題を繰り返し伝えなくても済むようにしてほしいと考えています。

顧客データをチーム内で共有せず孤立させておくと、たとえ付き合いの長い得意客でも、ブランドが自分を全然知らない(あるいは気にも留めていない)と感じてしまいます。

しかし、スピーディで便利なCXに新たな注目が集まり、従来の孤立した事後対応型のやり方は変わりつつあります。今日、ポジティブな体験を生み出すには、顧客と接するチームが常につながりを維持し、全員が顧客の好み、ニーズ、会社との取引履歴を全方向から把握できるようにすることが大切です。

すべての顧客データをすぐに利用できるようにすれば、CSチームはその場でパーソナライズされた提案を行う機会を活用し、CS部門をコストのかかるセンターから利益を生むセンターへと変革することができます。

 

トヨタコネクテッドは、Flexを使用して、より有意義な顧客関係を構築し、ドライバー体験を向上させました。

 

顧客体験データ: 顧客生涯価値への影響

一般的に、新規顧客を獲得するには、既存顧客を維持する場合の約5倍のコストがかかります。ただし、顧客獲得コストに加えて、離れた顧客が残っていればもたらされたかもしれない、潜在的な生涯価値の損失があります。

一度顧客が離れると、見捨てられたブランドは、将来の購入やクロスセルとアップセルの機会、顧客アドボカシーを逃してしまいます。顧客生涯価値は断ち切られ、ブランドは新規顧客と一からやり直さなければなりません。一方、人々の感情は定量化するのが難しい場合があります。しかし、こうした感情に対する人々の反応は、多くの調査や研究の対象とされてきました。その結果、消費者は良い体験への期待が満たされなければ、躊躇せずに行動を起こすことが分かりました。Deloitteの研究や調査、Twilioの『顧客エンゲージメント現状分析』では、次のような結果が出ています。

  • 56%の顧客が、顧客サポートに満足できない企業から購入を止めると答えています。
  • 59%の顧客が、優れた体験のためならより多くのお金を払っても良いと答えています。
  • 61%の顧客が、競合他社がより良い体験を提供したため、そのブランドからの購入をやめました。
  • 61%の顧客が、嫌な体験を他の人と共有すると回答し、70%が良い体験を共有すると答えています。
  • 83%の顧客が、企業の体験は製品やサービスと同じくらい重要だと答えています。

これらの数字は非常に示唆に富んでいます。肯定的な顧客体験を作ることは、消費者に対する単なるジェスチャーではなく、優れたビジネス戦略です。競争が厳しいとき、たとえ似たような製品でも、ポジティブな経験があれば、企業は他社よりも優位に立てる可能性があります。さらに報告によれば、59%の顧客が、優れた体験を得られるならより多くの料金を支払う意思があます。つまり良いCXは賢明な収益構築戦略です。

パーソナライズされたCXの構築: 例とユースケース

スピードと利便性に対する顧客の期待に応えることは、優れたCXの基本です。競合他社との真の差別化を図るため、企業は、オーディエンスの心に響く、高度にパーソナライズされた体験を使い、期待を上回る成果を目指しています。こうした体験は、単に迅速で簡単というだけではありません。ブランドが顧客の求めるものを正確に把握し、理解していることを示すものです。

あなたも一消費者として、パーソナライズされたCXの取り組みのターゲットとなったことがあるでしょう。その最も分かりやすい例は、小売業やデジタルエンターテインメントでしょう。Netflixのようなストリーミングプラットフォームでは、視聴してお気に入りに入れた番組に基づいて、新しい番組を顧客に勧めます。thredUPのようなオンライン小売企業は、サイトでお気に入りに入れたがまだ購入していないアイテムを掲載したバナーを顧客に表示します。

もちろん、CXは小売やエンターテインメントだけのものではありません。次の3つのケーススタディに示されているように、さまざまな業界の企業が、消費者と関わるための新たな方法を生み出してきました。

  • 自動車小売業: Vertu Motorsは、Twilioのコミュニケーションツールを使用して、自動車購入とショールーム体験を完全にデジタル化しました。その結果、パンデミックという制約にもかかわらず、同社は販売台数を維持し、融資契約数はほぼコロナ前のレベルにまで上昇しました。
  • サービス業: TravelPerkは、Twilio SegmentとFlexを活用し、顧客に関する深いインサイトを得て、コンテキスト主導型のコンタクトセンターを構築しました。これにより、シームレスな顧客体験を出張中のSMBプロフェッショナルに提供するために必要なデータが、組織をまたいで誰にでも提供され、ネットプロモータースコア(NPS)が95%という驚異的な値を記録しました。
  • 医療機関: MaineHealthでは、禁煙や予防接種をしようとしている患者とのエンゲージメントに、Twilio VoiceやMessagingツールを役立てました。同社のコールセンターは、低速のアウトバウンドシステムから、自動化されたワークフローとオムニチャネルコミュニケーションモデルへと移行し、発信者の待ち時間を平均45分から実質ゼロに短縮しました。

CXの落とし穴を回避

どのCX戦略も、独自設計を行い、組織にとって理想的な顧客を満足させることが必要です。顧客体験は、人間の感情が中心であることを忘れてはなりません。医療機関にアクセスしようとしている人の心理状態は、車を購入したり世界旅行を計画したりしている人とは、大きく異なるでしょう。

しかし、ニーズにかかわらず、カスタマイズされた多面的な体験を作り出すには、時間、予算、エネルギーを大きく投資することになる可能性があります。ロイヤルティ構築に向けた顧客体験をどう作り出すかについて、詳細な計画を立てることは重要ですが、それを実行に移す前に避けるべき落とし穴を知るための努力も価値があります。

新しいCXアプローチを戦略化する際に、企業が陥りがちな落とし穴をいくつか紹介します。

  • 顧客の360度ビューを構築するのに、全部門からのデータを活用できていない。
  • 速度や利便性の要求に対応できない旧式のシステムを使用している。
  • CXの成功を測定し、体験を定期的に最適化することを怠る。
  • 顧客や業界の要求に対応するために、迅速にイテレーションや変更を行う柔軟性を欠いている。
  • コールセンターやCSを、全体的なCX戦略から切り離したままにしている。

CXソリューションによる体験の最適化

これらの落とし穴を回避できたとしても、CXの成功の大部分は、計画の実施に使用するテクノロジーにかかっています。優れたデジタル体験は、優れたプラットフォームでしか実行できませんが、それに取り組む前に考慮すべきことはたくさんあります。

すべてのテクノロジーと同様に、最終目標ではどのプラットフォームを使うかを示す必要があります。プラットフォームを自分の戦略に合わせるのではなく、自分の戦略をプラットフォームの能力に合わせることを考えてみます。その場合、CX機能が大幅に制限される可能性があります。あるいは、新たなトレンドやチャネルに合わせて拡張できないことに気付くでしょう。

CXツールを本格的に探し始める前に、次のような重要な問いかけをする必要があります。顧客はどのチャネルでのコミュニケーションを好むのか?プラットフォーム間やチーム間でデータを共有するには、どのような統合が必要なのか?CX戦略が新しいトレンドに対応できるよう、継続的なサポートサービスやアップデートは必要か?導入と継続的な使用にはどの程度のサポートが必要なのか?

CXテクノロジーの大部分は顧客データを中心に展開されています。顧客データの収集、分析、チーム間での共有により、認識からコンバージョン、生涯アドボカシーまでのシームレスなジャーニーが形成されます。興味を持たれた方は、データ主導型ソリューションをご覧ください。企業が顧客エンゲージメントコンタクトセンターをCXの凄腕組織へと変貌させるのを支援しています。

 

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