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インタラクティブ音声応答完全ガイド

IVRであらゆる顧客の電話に対応する方法

How your business can use IVR to make every customer call count.

インタラクティブ音声応答完全ガイド

IVRとは

IVR(インタラクティブ音声応答)とは、通話者が、人間のオペレーターと対話する前にセルフサービスで電話システムとやり取りできるテクノロジーです。

「サポート担当者におつなぎする場合は1を、営業担当者におつなぎする場合は2を押してください」などの音声応答を誰もが経験したことがあるはずです。電子音声に従って通話者が選択した番号に基づいて、適切な部門にルーティングするのがIVRです。IVRシステムにより、初期対応のいくつかを自動化すると、企業やコールセンターのオペレーターはより多くの電話に対応できるようになります。

インタラクティブ音声応答システムは1970年代頃に登場したテクノロジーです。以来、この分野では興味深い発展がいくつも遂げられてきました。IVRはDTMFトーン(電話のキーパッドで番号を押した際に生成される信号)を使用します。

初期のIVRでは、DTMF入力と音声出力が使用されていました。次世代のIVRでは、音声入力と音声出力が使用されるようになりました。現在では、人工知能(AI)を搭載したIVRも登場しています。このようなIVRでは、メニュー項目に縛られることなく、通話者が自由に話すことができます。

通話者から掛かってきた電話に応答するIVRをインバウンドIVRと呼びます。アウトバウンドIVRは、通話ブラスト、アンケート調査の収集、またはその他の大規模通話アウトリーチ活動に使用します。

企業によるIVRの活用方法: ユースケースと事例

一般に、企業は通話を適切な部門や担当者にルーティングするためにIVRを使用しています。Marks and Spencerは、俊敏性に優れたIVRソリューションを導入し、顧客体験を強化したいと考えていました。IVRの導入により、平均的な電話対応時間が10秒短縮しました。これにより、顧客とより直接的かつ有意義な対話を行い、月間100万件の着信に対応できるようになりました。

スキルベースのルーティング: ルールを設定し、オペレーターの経験、専門、SLA、優先順位に基づいて、通話をルーティングできます。INGはTaskRouterを使用してIVRを設定することで、顧客第一のコールセンターを実現し、通話者のニーズに効率的に対応しています。

マーケティングキャンペーン: 多くの企業が、オフラインキャンペーン広告費の追跡に苦労しています。インターネットマーケティング企業のScorpionは、顧客のキャンペーンにコールトラッキングを使用することで、通話の発信元を特定し、ROIを測定しています。また、リードからの着信を顧客に通知する際に、電話だけでなく、SMSも活用しています。

業者とリードを結び付ける: IVRにより、マーケットプレイス企業は、サービスを提供するプロバイダーとサービスを求める顧客を結び付けて収益化を維持できます。Homeyouは、各種業者(請負業者、屋根工事業者、塗装業者などの専門業者)とそのようなサービスを求めている住宅所有者を結び付けています。Homeyouのコントロールのもと、住宅所有者と各種業者をローカル番号を通じて結び付けるため、住宅所有者の電話番号が業者に知られることはありません。これにより、顧客の信頼を得て、顧客のプライバシーを保護できます。

アンケート: Survey Monkeyは、政治から製薬まで、あらゆる分野を対象にアンケート調査を実施してデータを収集しています。同社は、手間のかかる電話アンケートを改善・改良したいと考えていました。IVRの導入により、これまでは数日または数週間を要した作業を数時間にまで短縮することに成功しました。

予約リマインダー: Arkansas Children’s HospitalはIVRを使用して、予約の前日に患者にリマインダーを通知して、予約を確認しています。患者は、IVRで「yes」または「no」を選択するだけで、予約の確定またはキャンセルができます。これにより、無断キャンセル率が2パーセント減少し、$25万のコストを節約しました。

IVR活用のベストプラクティス: 顧客満足度の高いIVR体験を構築する方法

  • 明快なウェルカムメッセージを用意します。第一印象は非常に重要です。
  • IVRのメニューはシンプルで簡潔なものにします。段階や選択肢の数は最小限に抑えます。
  • 容易にオペレーターにつながるようにします。オペレーターにつながるまでに何段階もの手順を踏まなければならないと、顧客満足度とユーザー体験が低下します。
  • 通話者の希望を記憶します。たとえば、通話者が希望言語としてスペイン語を選択した場合、2回目以降の電話ではスペイン語で応答します。
  • IVR発信の場合、パワーダイヤラーシステムを活用し、相手が電話に応答したらすぐにオペレーターが話せるようにします。
  • 心地よい待受音を使用し、おおよその待ち時間を知らせます。
  • 保留中に新製品や新サービスの宣伝を再生する場合は、押しつけがましくならないよう配慮します。
  • IVRをオムニチャネル体験の一環として組み込みます。

IVRは現代のコールセンターには欠かせないシステムです。IVRにより、顧客の時間だけでなく、オペレーターと企業の時間も節約できます。さらに、顧客対応をパーソナライズすることで、高まり続ける顧客の期待に応え、一貫した顧客体験を提供できます。

以降のセクションでは、IVRの詳しい構築方法について紹介します。

IVRの仕組み

IVRシステムを導入するのに、大掛かりな機器を新たに購入する必要はありません。

クラウドベースのIVRプロバイダーを利用すれば、簡単にIVRを導入できます。IVRには、コンピューターテレフォニー統合(CTI)や以下のコンポーネントなど、さまざまな技術が搭載されています。

  • コールルーティングのためのPSTNまたはインターネットベースVoIP
  • IVRソフトウェアとデータベースの間のゲートウェイとして機能するテレフォニーサーバー
  • IVRの選択肢を再生するアプリケーションサーバー
  • リアルタイム情報を格納したデータベース(IVRがこのリアルタイム情報にアクセスすることで、状況に応じたサポートを通話者に提供する)

複雑に思えるかもしれませんが、通話者をインテリジェントにルーティングするためのカスタムの電話ツリーを作成するだけで、難しい作業はアプリケーションサーバーが背後で実行してくれます。通話者が電話を掛けると、事前に録音されたウェルカムメッセージが再生され、いくつかの選択肢が提示されます。通話者は、その中から1つを選択するだけです。

IVRを導入すべき理由

企業は、手間をかけずにオペレーターにつなぎ、初回解決率を改善するために、IVRを活用する必要があります。IVRシステムを導入していないと、顧客満足度が低下し、顧客を失います。また、IVRには次のようなメリットもあります。

  • 顧客体験の改善: 顧客は、セルフサービスで問題を解決するか、オペレーターとやり取りするかを選択し、24時間いつでも問題を解決できます。
  • 大企業と同等の印象: 大規模な営業チームやサポートチームを抱える余裕のない小規模企業や個人起業家であっても、IVRを活用することで、大企業と同等の印象を与えることができます。
  • 時間とコストの削減: IVRにより、時間の節約、コストの削減、業務効率の向上という、あらゆる企業が求めているメリットを実現できます。顧客は今すぐ問題を解決したいと考えています。そのような顧客にセルフサービスのIVRを提供することで、顧客満足度が向上し、売上拡大につながります。オペレーターが対応した場合のコストが通話者あたり$6~$12なのに対し、IVRのコストは$1未満です。このような明確なコスト削減効果を期待できます。
  • 顧客エンゲージメントの改善: 顧客関係管理(CRM)ソフトウェアとIVRを統合することで、高度なパーソナライゼーションが実現します。過去の通話やトランザクション履歴などに基づいて、顧客に対する理解を深めることができます。顧客がWebサイトやアプリを閲覧しながらオペレーターと通話できるクリックトゥーコール機能、も顧客体験の改善に大きく貢献します。
  • ローカリゼーションの促進: グローバルに展開している企業の多くが、ローカリゼーションを通じて市場を拡大することに苦労しています。IVRにより、電話調査、アンケート、マーケティングキャンペーンを実施し、新しい国の顧客に対する理解を深め、各国向けにメッセージをカスタマイズできます。
  • 優れた拡張性: クラウドベースのIVRソリューションなら、組織の成長に合わせて柔軟に拡張できます。たとえば、X(旧Twitter)はSIPトランクを使用して、自社の電話ネットワークを一度に多数の国へと拡張しています。SIPは、現代の通信(インターネットを介した音声通話やビデオ通話など)の基盤となるプロトコルです。VoIP(Voice over Internal Protocol)システムと電話ネットワークを接続するSIPトランキングプロバイダーを利用すれば、従来の固定電話サービスや携帯電話サービスは不要になります。
  • 既存のシステムと統合: すでに電話システムに投資している場合も心配はいりません。IVRシステムと既存のソリューションを併用することで、双方の利点を活用できます。
  • 迅速なプロセス改善: リアルタイム分析により、改善が必要な領域(着信の受け損ね、オペレーターのパフォーマンスなど)を特定し、スタッフの過不足を把握できます。