0ABJ番号ー地域密着ビジネスにやさしい電話番号サービスの活用方法とは?ー

May 18, 2022
執筆者

0ABJ番号ー地域密着ビジネスにやさしい電話番号サービスの活用方法とは?ー

電話はビジネスコミュニケーションの基本であり、その利用価値はまだまだ高いと言えます。特に、地域密着型サービスを提供する企業が顧客とつながる手段としての価値は見逃せません。ここでは、何種類かある電話番号の表記形式の中で、特にビジネスでの活用メリットが高い「0ABJ番号」について、やさしく解説します。

<目次>

  • 利用価値の高い「電話」というコミュニケーション
  • 0ABJ番号とは?
  • 近年では固定電話以外でも0ABJ番号が使用されている
  • 地域密着型ビジネスでのメリットが多い0ABJ番号
  • ビジネスコミュニケーション向きの多くの特長を持つ0ABJ番号
  • IP電話+0ABJ番号がビジネス用電話の最適解
  • Twilioを活用して効果的なビジネスコミュニケーションを実現
  • まとめ

利用価値の高い「電話」というコミュニケーション

企業と顧客が対話するビジネスコミュニケーションの手段として、電話は最も手軽で、誰もが利用できるものです。世代によっては、SNSなどデジタルコミュニケーションは馴染まず、商品やサービスについて不明な点はまず電話で聞くという人は多くいます。

電話は、企業であれば必ず備えるべきコミュニケーションの手段であり、実際、電話番号をオープンにしていない企業は、ほとんど存在していないのではないでしょうか。そもそも会社を設立する際の登記申請や銀行口座の開設では、必ず電話番号の申告が求められ、SNSやWebサイトのアドレスは必ずしも必要ないことからも、その重要性がよくわかります。

電話番号を決める際、「1111」や「0123」など、顧客にとって覚えやすい番号を選択する企業は多くあります。「4126(よいふろ)」という電話番号の温泉地のホテルもありました。いかに顧客に電話番号を覚えてもらうのかは、企業のマーケティング活動の重要項目のひとつです。近年では、知人の電話番号などに関しては、携帯電話の番号リストに自動登録して記憶に留めないようになりました。しかし、初めて取り引きする企業や商品を購入しようとしている小売店に電話を掛ける際には、電話番号をテンキーで打ち込むことになりますから、電話番号の覚えやすさや、そこから想起する印象、信頼は意外と重要です。

そんな企業の看板ともなる重要な電話番号ですが、その表記には、いくつかの形式があることをご存知でしょうか。そして、どの表記形式の電話番号を採用するかで、顧客の印象が大きく変わってしまうのです。なかでも、顧客に信頼感を与えるプレミアムな電話番号の表記形式と言えるのが、「地域密着型の0ABJ番号(0AB~J番号とも呼ばれます)」です。0ABJ番号の採用には、他の表現形式では得られないさまざまなメリットがあります。

0ABJ番号とは?

0ABJ番号とは、電話番号の並びが「0 A B C D E F G H J」と、先頭の数字が必ず「0」になり、それ以外のアルファベット部分に任意の数字が割り当てた10ケタの数字で表す表記形式です。「H」の後は「I」なのではと思う人もいるかもしれませんが、数字の「1」と「I」の見た目が紛らわしいため、0ABJ番号を定義する際には通常最後のケタを「J」と表しています。

0ABJ番号は、日本国内では、一般的な加入固定電話の番号として採用されています。その際には、「市外局番-市内局番-加入者番号」の並びで表されます。市外局番と市内局番の区切りの位置は地域ごとに異なり、東京23区内の市外局番は「03」と2ケタ、横浜市では「045」と3ケタ、武蔵野市「0422」と4ケタ、伊豆大島は「04992」と5ケタとなります。ただし、いずれの地域でも、電話番号の総ケタ数を必ず10ケタで表す決まりになっています。

電話のイメージ

その他の電話番号の形式

0ABJ番号以外にも、いくつかの電話番号の形式が利用されています。警察「110」や消防「119」など特殊用途で利用する、「1」で始まる合計3ケタの「1XY」形式。携帯電話「070」「080」「090」など固定電話以外の電話網への接続に使われる「0A0」形式。KDDIの「001」やNTTコミュニケーションズの「0033」などの通信事業者の識別に使われる「00XY」番号などがあります。

日本では、0ABJ番号の市外局番の割り当てには、国の方針に基づく一定の取り決めがあります。市外局番と通話の交換業務を行う電話局の管轄地域が、必ず一致するようにしているのです。これは、市外局番を見れば、電話番号に対応する固定電話の端末が置かれている地域が大まかにわかることを意味しています。

この取り決めの面白いところは、電話局の管轄地域と行政区分が必ずしも一致していない点です。例えば、大阪市の市外局番は「06」で、大阪府富田林市は「0721」ですが、兵庫県尼崎市は大阪市と同じ「06」を使っています。これは、尼崎市は大阪市の近隣に位置し、富田林市よりも管轄地域としてひとまとめにしやすいからです。つまり、0ABJ番号の市外局番が同じならば、距離的に近い地域であることを意味しているのです。

近年では固定電話以外でも0ABJ番号が使用されている

当初は固定電話だけに割り当てられていた

かつての0ABJ番号は、一般加入電話(電話局で通話を交換するアナログ電話)のネットワークであるPSTN(Public Switched Telephone Network:公衆交換電話網)につながる固定電話だけに割り当てられてきました。携帯電話機やノートパソコンなどを電話端末として使うと、端末が持ち運ばれて使われる可能性が高いため、実際に通話される場所と電話局の管轄地域が一致しなくなります。このため、0ABJ番号の適用は、地域の電話局につながる固定電話に限定していたのです。

利用環境の変化に対応し、固定電話以外でも利用可能に

ところが近年、こうした0ABJ番号の大原則を厳格に適用したのでは不都合が生じるユースケースが出てくるようになりました。たとえば、パソコンやスマートフォンなどを内線電話化して、電話番号には「03」を使いながら、遠隔地で受けるというようなサービスがそれに当たります。つまり、抜け道ができたわけです。ただし、この抜け道は、企業がビジネスをするうえで大きなメリットがありますから、悩みどころでした。

また以前には、一般加入電話のネットワークであるPSTNを利用しないIP電話は、0ABJ番号ではなく、0A0番号の「050」が割り当てられていました。PSTNに比べれば、IPネットワークの方が、接続性・安定性・通話時の遅延、通話品質(ゆらぎや音の損失)などの面で劣っていたからです。ところが、最近ではネットワーク技術の発達によって、通信プロトコルも進化し、ネットワークの帯域も大容量化したため、IPネットワークを使っても十分な品質を維持できるようになりました。

こうした利用環境の変化を鑑みて、電話の監督官庁である総務省は、抜け道を規制するのではなく、0ABJ番号の大原則の方を見直して、現状のユースケースに柔軟に対応していく賢明な判断をしました。現在では、市外局番から利用端末が置かれる地域を特定でき、110番や119番への緊急通報が可能で、なおかつ総務省が「接続品質」「総合品質」「安定品質」「ネットワーク品質」の4項目で規定した通話品質がアナログ電話に匹敵することを条件に、IP電話でも0ABJ番号を利用できるようになりました。既に、IP電話であるNTT東日本/西日本の「ひかり電話」で0ABJ番号を利用している人も多いのではないでしょうか。

最近では、固定回線ではなく、携帯電話の回線を使いながら、0ABJ番号を利用できるサービスも登場しています。ソフトバンクが提供している「おうちのでんわ」というサービスがそれです。このサービスは携帯電話のデータ通信を利用したIP電話なのですが、LTE-Advanced方式などによって、通話品質がアナログ電話に匹敵するため、0ABJ番号が利用できます。

ビルのイメージ

地域密着型ビジネスでのメリットが多い0ABJ番号

利用に関する規制が大きく緩和された0ABJ番号ですが、ビジネスで顧客とのコミュニケーション手段として電話を使う場合、多くの利用メリットがあります。

・地域密着ならではの安心感

まず、地域密着型サービスを提供するビジネスを営む企業にとっては、問い合わせや注文の窓口の電話番号を0ABJ番号にしておくことで、利用者に安心感を与えることができます。

例えば、医療やヘルスケア、看護などに関するサービスを提供する企業の多くは、住民との密なつながりを訴求したいと考えます。手厚いサービスの提供が期待できる地元企業であることを端的にアピールするため、住民と同じ市外局番であることを明示できる0ABJ番号を利用すれば、利用者に安心感を与えることができるのです。

こうした企業が携帯電話の番号や「050」を利用すると、緊急対処してもらいたい事案が発生した場合に、適切かつ迅速な対処をしてもらえないのではないかという不安が生じかねません。少子高齢化が進む日本では、こうした観点からビジネスコミュニケーションを考える重要性が高まっています。同様の理由で、電気・ガス・水道などライフラインの修繕サービスなどを提供する企業も、0ABJ番号の活用にメリットがある業種だと言えます。

また、塾や予備校など教育産業やスポーツジム、食料品・日用品を販売する小売店といった住民が日常使いするサービスを提供する企業も、地域に密着していることをアピールできる0ABJ番号の利用が効果的です。これらの業種は、住民が気軽に通えることが重要なため、利用者の自宅から距離が近いことがとても重要です。広告などの連絡先に、居住地域に対応する市外局番以外の電話番号が書かれていたのでは、電話を掛けるのに躊躇(ちゅうちょ)してしまうことでしょう。

オペレーターのイメージ

ビジネスコミュニケーション向きの多くの特長を持つ0ABJ番号

その他にも、ビジネスコミュニケーション向けの電話番号として0ABJ番号を利用可能な電話サービスを利用するメリットはいくつもあります。

・通話の品質と安定性が高い

0ABJ番号を利用している電話サービスならば、それがPSTNにつながるものであっても、IP電話であっても、高い通話の品質や安定性が保証されていると言えます。ここでいう通話の品質や安定性とは、声がクリアに聞き取れる、通話している間にプチプチと接続が途切れることがない状態を指します。顧客から電話が掛かってきて、円滑に会話できないのでは、正しいコミュニケーションはできませんし、顧客も不快に感じることでしょう。

通話専用の通信インフラであるPSTNの通話の品質や安定性が高いことはいわずもがなですが、IP電話についても、0ABJ番号を取得するためには、総務省が定める通話品質の基準をクリアする必要があるのです。総務省は、通話品質を、固定電話並み(PSTNと同等)の通信品質を実現した「クラスA」、携帯電話並の「クラスB」、それ以下の「クラスC」の3段階に分けています。0ABJ番号は、「クラスA」でないと取得できません。つまり、0ABJ番号を利用できるIP電話のサービスならば、すなわち通話の品質と安定性が高いと判断して差し支えないわけです。

・顧客体験を損なう恐れがない

また、0ABJ番号ならば、携帯電話を顧客窓口にするとありがちな、端末が接続圏外にあって発着信できないといったことがありません。顧客が企業に電話を掛けた時、企業の端末が圏外にあってつながらなかったら、顧客は不信感を募らせることでしょう。また、企業にとっても得難いビジネスチャンスを逃す可能性があるわけですから、避けたい状況です。たとえ、固定電話に掛かってきた電話を、出先の携帯電話に転送して利用する場合でも、0ABJ番号の固定電話を顧客の窓口にしておけば、自動音声応答などの顧客応対の仕組みを活用して、顧客体験を損なうことなく対応できます。

 

・社会的信頼性が高い

さらに、0ABJ番号は他の表記形式の番号よりも社会的信頼性が高いと言えます。企業が銀行口座を開設する際には個人用口座の場合よりも厳しい審査が課せられますが、0ABJ番号ならば、登録電話番号として問題なく使用できることからもわかります。銀行口座の開設で0ABJ番号が重要になるのは、銀行が、マネーロンダリングなど犯罪などに使われる居所不明のペーパーカンパニーの口座開設を警戒するからです。実際、多くの企業が、会社の代表番号に0ABJ番号の市外局番の番号を利用しています。

0ABJ番号の社会的な信頼性が高いのにはいくつか理由があります。まず、数ある電話番号の形式のうち、多くの一般消費者にとって最も馴染み深いからです。古くから利用実績があり、年齢層が高いほど0ABJ番号こそが正式な電話番号であると考える傾向があります。デジタルネイティブが増えてきた近年では、携帯電話の番号が生活の中で最も馴染み深いと思う人もいるかもしれませんが、携帯電話の番号は連絡リストに自動登録することが多いため、固定電話向け0ABJ番号の方がテンキーで直接打ち込む機会が多いため印象には残りやすい傾向があります。

IP電話+0ABJ番号がビジネス用電話の最適解

元々、PSTNにつながる固定電話用だった0ABJ番号ですが、現在では利用状況が随分様変わりしてきています。

情報通信白書令和3年版によると、2015年には2,507万加入だった固定通信と直収電話の契約者数は、2020年度には1,716万加入と減少傾向にあるそうです。その一方で、0ABJ番号を適用したIP電話は3,077万加入から3,568万加入へと堅調に伸びています。いまや、IP電話で使われている0ABJ番号の方が、はるかに数が多く、しかも伸び続けているわけです。これは、ビジネスコミュニケーションに有利な0ABJ番号を利用できるのであれば、使用するネットワーク自体は、PSTNよりもIPネットワークにした方が、よほどビジネス上のメリットが多いと判断している企業が多いことを意味します。

PSTNよりもIPネットワークの方が有利な点として以下のようなものが挙げられます。

・基本料金と通話料金が安価

一般に、IP電話は、基本料金と通話料金が安価です。それどころか、同じプロバイダー間ならば、通話料金が無料であることがほとんどです。これは、PSTNでは不可欠な回線を開設する時の交換局側での準備と施設の専有が不要になるからです。また、PSTNでは、通話する相手との距離が遠くなるほど多くの交換局を経由することになり、通話料金が高くなります。IP電話では、距離に応じて通話料金が変わるようなことはありません。さらに、PSTNはアナログ電話であるため、経由する交換局の数が増えれば、それだけ通話品質が劣化してしまいます。デジタル通信であるIP電話では、こうした距離による劣化は発生しません。これらの特長は、グローバルなビジネスを行う場合やさまざまな場所に分散した拠点で電話番号を共有して使う場合などでは欠かせないものです。

・運用が容易

さらに、IP電話の方が運用は容易です。通信インフラをデータ通信用ネットワークに統合できるため、通信網の運用管理の一元化が可能になります。さらに、IP電話は回線の追加と削除が簡単なため、社員の増減にも柔軟に対応できます。

これらの理由から、IP電話で0ABJ番号を活用する方法が、ビジネスコミュニケーションで電話を活用する際のベストソリューションになっているのです。

Twilioを活用して効果的なビジネスコミュニケーションを実現

「電話網とインターネットをつなぐ部分をクラウド化したサービス」であるTwilioならば、システム構築に伴う経費を最小化したうえで、ビジネスコミュニケーションに適したIP電話システムを導入できます。1つの電話番号を使って、同時に発着信することが可能です。さらに、提供されている多種多様なプログラミング言語のSDK(ソフトウェア開発キット)を利用することで、ブラウザフォンなども構築できます。

Twilioでは、「050番号」と、着信課金電話番号である「0120番号」、「0800番号」をワンストップで取得可能です。このうち、050番号と0800番号はTwilioサービスの中で購入可能であり、0120番号は問い合わせフォームを通じて取得できます。また、0120番号と0800番号に関しては、既に利用している番号をTwilioでも引き続き利用することができます。

さらにTwilioは、2022年5月18日に、ソフトバンクと協同で新たに0ABJ番号を直接提供開始することを発表しました。これはCPaaS(Communications Platform as a Service​​)と呼ばれるコミュニケーション領域のプラットフォームサービス提供社としては、Twilioが他社に先駆けて提供開始しました。これにより、03といった地域密着性を加味した電話番号を活用しながら、他のCPaaSサービスと併せてコミュニケーションチャネルの設計が可能になります。Twilioの0ABJ番号取得に関するお問い合わせはこちらをご覧ください。