ブランデッドコーリングとは?
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ブランデッドコーリングとは?
40億 - これは米国の消費者に毎月かかってくるロボコールの数です。つまり、ほぼ毎秒1〜2回のペースで電話が鳴っている計算になります。
知らない番号からの電話に応答するのをためらう顧客が多いのは当然です。発信者IDも用件も表示されない電話が、詐欺ではなく正当な企業からの発信だと、どのように伝えればよいのでしょうか。その答えが、ブランデッドコーリングです。
ブランデッドコーリング(別名:ブランド発信者ID)は、悪意のある攻撃によって失われた音声通話の信頼と評判を、企業が取り戻すための技術です。顧客にとっては、信頼できる企業とのやり取りの新時代を切り拓くものです。
この記事では、ブランド発信者IDの詳細と、Twilio VoiceのBranded Calling Display Nameに登録するメリットを解説します。
ブランド発信者IDの説明
ブランド発信者IDは、発信元の企業名、ロゴ、通話の目的を携帯電話の受信画面に表示する機能です。
「Unknown Caller」(不明な発信者)のような曖昧な表示ではなく、顧客が一目で発信元企業を識別し信頼できるように発信者IDをブランディングできます。
ブランド発信者IDは、携帯電話の音声通話に欠かせない要素になりつつあります。簡単に言えば、ブランデッドコーリングとはCNAM(発信者ID名)の自然な進化形です。CNAMは1990年代初頭に導入された仕組みであり、固定電話への着信時に、番号に紐づく個人名や企業名を表示し、発信元を特定できるようにします。
現在では、VoIPサービスの普及により世界中のどこからでも電話番号を有効化できるため、公衆交換電話網(PSTN)への信頼が揺らいできています。ブランデッドコーリングは、発信通話の信頼性とセキュリティを強化します。ベーシックなローカル発信者ID番号とは異なり、ブランド発信者IDでは通話に関する最大32文字の情報を表示できます。
ブランデッドコーリングが重要な理由
今日の消費者は、日常的に大量のロボコール(録音メッセージを再生する自動音声通話)を受け、偽装(詐称)された発信者IDを目にしています。こうした迷惑電話があまりにも多いため、連邦政府は対策を講じる必要に迫られています。企業側は、正当なビジネスであることを証明する適切な手段を講じなければ、法律に違反することになり、スパムと判断されて顧客に通話が届かなくなる恐れがあります。
2023年7月、米国連邦取引委員会(FTC)は、国と地方(全米50州全州)の100の法執行機関と連携し、米国史上最大規模の電話詐欺対策「Operation Stop Scam Calls」を開始しました。この取り組みには、詐欺電話から顧客を守るための180以上の対策が含まれています。
そのひとつがRobocall Mitigation Databaseです。これは、音声サービスプロバイダーやコールセンターに対し、STIR/SHAKENの実装状況を政府当局へ報告することを義務付ける新しい制度です。STIR/SHAKENは、発信者ID情報を検証するためのプロトコルとして導入が必須となっています。これを導入した企業からの着信は、携帯電話に「Caller Verified」(認証済みの発信者)と表示され、信頼できる企業からの電話であることが分かります。
必須となっているFTCの規制を遵守していない音声サービスプロバイダーは、消費者からの信頼を失うだけでなく、さまざまな不利益を被る可能性があります。たとえば、発信通話が「Potential Spam」(スパムの可能性あり)と表示されたり、ボイスメールに直接振り分けられたり、ブロックされたりする恐れがあります。
そこで登場するのが、ブランド発信者IDです。ブランド発信者IDは、政府機関が求める信頼指標をさらに強化するもので、企業ロゴなどの認識しやすい企業要素を表示名に含めることができます。ブランド発信者IDを使用して発信することで、連邦政府だけでなく、既存の顧客や潜在顧客からの評判も大幅に改善されます。
ビジネス発信者IDによる信頼の構築
アメリカ人の4分の3以上が「知らない番号からの電話には一切出ない」と回答しているのには理由があります。毎月無数のなりすまし電話がかかってくるためです。昨年の12月だけでも、米国では33億4千万件以上のロボコールが記録されています。これは、1人あたり約17件のスパム電話に相当します。
このような迷惑電話の蔓延により、1990年代のCNAM導入以降企業が築こうとしてきた顧客との信頼関係や顧客エンゲージメントは大きく損なわれています。その結果、大規模なコンタクトセンターから医療機関、高等教育機関に至るまで、あらゆる業界で応答率の低さが深刻な課題となっています。
ブランデッドコーリングは、電話に対する顧客の信頼回復を支援します。特に、スマートフォンやスマートスピーカーなどの音声対応デバイスを用いたボイスコマースが広がり、企業とのやり取りがテキスト中心になりつつある今、ブランド発信者IDは調和の取れたコミュニケーションエコシステムを生み出しており、以下がその基盤となっています。
信頼と真正性
企業の可視性と認知
コンプライアンス
ブランデッドコーリングのメリット
ブランデッドコーリングは、PSTNへの信頼を取り戻し、消費者が詐欺を恐れることなく安心して応答できるようにする革新的な技術です。これは顧客にとっても、正当なビジネスを行っている企業にもメリットがあります。
詐欺電話が横行する時代において、ブランド発信者IDは顧客からの信頼を高め、応答率とブランド認知度の向上をもたらします。これらのメリットについて詳しく解説します。
顧客の信頼向上
米国連邦通信委員会(FCC)は、知らない番号からの電話には応答せず、ボイスメールに回すよう消費者に助言 しています。これは明らかに、電話による顧客コミュニケーションに依存する企業にとって重大な問題です。
ブランデッドコーリングでは、発信元の企業名や通話の目的などの詳細情報が表示されます。そのため、顧客は誰がどのような理由で電話しているのかを即座に判断でき、ボイスメールに頼る必要がありません。ブランデッドコーリングは、顧客からの信頼構築に役立つ、極めて透明性の高いアプローチです。
実際、成人の3分の2が、銀行や金融サービス業者などからの着信にロゴや企業名が表示されていれば、情報提供に前向きになると回答しています。信頼の向上は、企業の業務効率やコンバージョン率の向上に直結します。
詐欺に対する安全対策
現在FTCに寄せられる消費者からの苦情のうち、最も多いのはロボコールなどの迷惑電話です。詐欺電話による被害額は2023年だけで100億ドルに達し、前年を10億ドル上回り、過去最高額となっています。ブランド発信者IDは、まさに消費者が求めていたセキュリティ対策です。
ブランド発信者IDを使用することにより、消費者は着信が詐欺目的の電話番号によるものではないことを即座に確認でき、安心して応答できます。ブランド発信者IDに表示される認証情報が、電話の正当性を顧客に保証します。
たとえば、金融機関が新しい信用枠の開設にあたり、顧客に住所確認の電話をかけるとします。特に詐欺事件が増加している現状では、顧客は電話でこうした個人情報を提供することに警戒心を抱く可能性があります。ブランド発信者IDでは企業名と通話の目的の両方を明確に示すことができます。
応答率とROIの向上
FCC(米国連邦通信委員会)は、電話会社に対し、消費者に届く前に「不審な」通話をブロックする権限を与えており、個々の消費者が連絡先に登録していない番号からの通話をブロックできるようにしています。ブランデッドコーリングを導入しない場合、応答率は大きく低下する可能性があります。
TwilioのTrust Hubに含まれるブランデッドコーリングソリューションのような認証済みコミュニケーション製品は、企業からの通話の正当性を最初の着信音から保証することにより、応答率の向上を支援します。STIR/SHAKENとCNAMにブランド発信者IDを組み合わせることで、企業は応答率とROIを大幅に改善できます。
医療業界のTwilioの顧客には、トラステッドコーリングの採用により応答率が100%以上に向上した例もあります。認証済みのコミュニケーションは、発信する電話がFCCの「不審な事業者」の監視対象から外れるようにするだけでなく、顧客の積極的な応答を促します。
企業に対する信頼と認知
ロゴは企業の認知に最大80%寄与すると言われていますが、これまで発信通話にロゴを表示する手段はありませんでした。ブランド発信者IDは、従来のCNAMの制約を超え、企業のロゴを携帯電話の表示画面に直接表示します。
企業にとって、ブランド発信者IDは電話のたびに視覚的な顧客体験を創出するのに役立ちます。着信通話に企業名やロゴなどの情報が表示されていれば、顧客は積極的に電話に応答し、発信元企業との継続的な関係構築にもつながります。
顧客、特に企業との音声ベースのやり取りを好む顧客にとって、ブランデッドコーリングはより安心感のある快適なやり取りを実現します。こうしたやり取りはブランド認知度向上に寄与し、顧客への継続的な発信を通じて企業への評価を高めます。
ブランデッドコーリングの仕組み(ステップごとの解説)
電話をかけてから、受信者の電話機の画面が光るまでの一瞬の間に、多くの処理が行われています。ブランデッドコーリングの仕組みを理解できるよう、まず通常の通話について説明し、違いを比較します。
通常の通話
顧客の電話機に着信すると、発信者の番号がそのまま数字で表示されます(例:+1-555-0123)。
電話機がその番号を識別できないため、画面には通常「Unknown Caller」(不明な発信者)と表示されます。またはキャリアの保護フィルターによって「Scam Likely」(詐欺電話の可能性あり)という警告が表示される場合もあります。
受信者はテレマーケティングや詐欺電話を警戒し、応答せずにボイスメールに転送します。そうなればボイスメッセージを残すしかなく、折り返し連絡が来る可能性はほぼありません。
ブランデッドコーリングによる通話
ブランデッドコーリングの導入により、通話は一変します。
発信が顧客に届くまでの間に、音声プロバイダーが信号情報に検証済みのデジタルIDを加えます。
その途端、顧客の画面表示が数字の羅列から変化します。会社名、高解像度のロゴ、簡潔な用件が表示されます。
顧客は企業を一目で認識します。電話に「誰が」「なぜ」かけているのかが最初から明示されているため、顧客は進んで応答します。
ブランデッドコーリングの背後の仕組み
着信音が鳴り始めるまでの一瞬の間に、発信と発信者ID追加の処理が行われています。これはSTIR/SHAKENと呼ばれるフレームワークに基づく仕組みであり、なりすまし電話を防ぎ、発信者が身元を偽っていないか検証するためのプロトコルです。
登録と検証: 企業がブランデッドコーリングのプロバイダーに自社の電話番号を登録すると、その番号が実際にその会社のものであることを証明するための審査が行われます。
データの添付: 企業は、自社のブランドアセット(ロゴ、会社名、部署名など)を安全なシステムにアップロードします。このシステムはキャリア、またはTwilioのようなプラットフォームが管理しています。
コールトリガー: 企業が発信すると、サービスプロバイダーがその番号を識別し、中央データベースから情報を集め、対応するブランディングデータを特定します。
認証: STIR/SHAKENのデジタル証明書は、正しい発信元からの通話であることの証であり、「表示名」が改ざんされていないことを保証します。
配信: モバイルキャリアがロゴや会社名といったリッチメディア情報をデータ信号として受信者の端末に送信し、着信画面に企業のプロフィールが表示されます。
Twilio Voiceが提供するブランデッドコーリング
ブランデッドコーリングは、制約の多い従来の固定電話インフラストラクチャをベースに、発信者ID名(CNAM)を進化させた仕組みです。受信者は、発信者の詳細情報を確認してから応答できます。
昨今の消費者は詐欺電話に悩まされ続け、毎年数十億ドル規模の被害が発生しています。ブランデッドコーリングは、複雑なPSTNや厳格化するプロトコルに対応しつつ、企業が正当な電話を確実に顧客に届けるための手段です。企業はまた、発信する通話が正当で安全なものだという安心感を消費者に提供できます。詳しくは、ブランデッドコーリングのROI分析作成ガイドをご覧ください。
TwilioのBranded Callingにより自社の評判を管理し、顧客エンゲージメントを高めましょう。Twilioの認証済みコミュニケーション製品群のひとつであるBranded Callingでは、信頼できる表示名(登録済みの企業名を含む)を32文字まで指定できます。
スパムを警戒する顧客との信頼関係を再構築し、Branded Callingの多くのメリットを享受する準備が整ったら、Twilio Voice APIとTrust Hubの機能で音声通話体験をアップグレードしてください。今すぐTwilio Voice APIを導入し、電話発信の評判と応答率を向上させましょう。
ブランデッドコーリングに関するFAQ
Q. ビジネス発信者IDとは何ですか?
A. ビジネス発信者IDとは、受信者のモバイルデバイスに表示される一般的な電話番号や発信者不明の電話番号を、企業名やロゴに置き換える機能です。電話の相手に対して即座に発信者情報が伝わるため、スパムと疑われる可能性を排除できます。
Q. ブランデッドコーリングに対応しているキャリアは?
A. Verizon、AT&T、T-Mobileなどの米国の主要キャリアはすべて、ユーザー保護のために様々な形のブランデッドコーリング技術をサポートしています。
Twilioは、VerizonとT-Mobile対応のブランデッドコーリングソリューションを提供しています。Twilioのようなプラットフォームを利用すれば、キャリアごとに個別に契約を結ぶことなく、各種ネットワークの大多数のモバイルデバイスにリーチできます。
Q. 自社の発信通話がスパムと判定されないことを、どうすれば確認できますか?
A. ブランデッドコーリングは、STIR/SHAKENプロトコルを使用して発信元の企業がその番号の正当な所有者であるかを検証します。信頼できるプロバイダーを通じて企業と通話の目的を登録することで、キャリアの検知システムにより「詐欺電話の可能性あり」と判定されるのを回避できます。
Q. ブランデッドコーリングは国際電話に対応していますか?
A. ブランデッドコーリングの可用性は国や地域によって異なり、地域の通信規制とキャリアのインフラストラクチャに左右されます。現時点では米国が最も充実していますが、今後、通話の保護措置を講じる地域が増えるにつれ、世界的に導入が進むでしょう。
Q. 顧客側は特定の電話機やキャリアを使う必要がありますか?
A. 顧客が企業名を確認できるようにするのに、特定の電話機やアプリ、設定などは不要です。Verizon、AT&T、T-Mobileといった大手キャリアを利用していれば、自動的にブランド発信者IDの詳細情報を受信できます。
Q. 既存の音声プラットフォームにブランデッドコーリングを統合できますか?
A. はい。一般に、Twilioのようなプラットフォームが提供するAPIを使えば、既存のワークフローにブランデッドコーリングを統合できます。そのため、お好みの音声プラットフォームを使いながら、表示名やブランドアセットを一元的に管理できます。